待ち箱ルアーの「効果がある」の温度感はどのくらい?

待ち箱ルアーは、2014年に登場しました。すでに、キンリョウヘンは非常に広く愛好家に使われており、その効果の高さから「キン様」とも呼ばれるほどでした。

待ち箱ルアーは、キンリョウヘンの誘引成分を人工的に合成したものです。それまでキンリョウヘンを使ってきた方に対しては

「キンリョウヘンに対して同等の効果があり、効果も45日と長く続く」

とご説明すれば十分にその製品の特徴を分かってもらえる状況でした。

しかし、発売から三年以上経過して広く普及しています。最近では新しく始める人も増えてきており、その中にはキンリョウヘンを使ったことがない人も少なくありません。このような背景から、待ち箱ルアーの効果を、本来のものよりも高く期待、評価していただける方が出始めています。このような方の口コミや書き込みが、製品への過度な期待や誤解につながらないように、一度ご説明させていただきたいと思います。

待ち箱ルアーについてよく知らない方は、こちら

 

利用者の声を知るのに便利なネットショップのレビュー欄

待ち箱ルアーを使った方から、分蜂マップやニホンミツバチのQ&Aでの書き込み、直接のメールや電話などで多数いただいています。その中には、待ち箱ルアーの個数以上の群れを捕獲される方もいます。これは、捕獲した後に待ち箱ルアーを別の箱に付け替えて、またその箱に入った場合です。5個買って8群れ、10個買って14群れなどの驚くべき方もおられます。

お客様の声をいくつか紹介したいのですが、ちょうど良いのがネットショップのレビュー欄です。ニホンミツバチの捕獲は設置場所などの周囲の環境にかなり影響されるので単品の購入では効果がわかりにくいです。このため、5個以上購入された方の声を紹介します。

まず、ヤフーショッピングのレビュー欄を見てみましょう。こちら

34人中の17人、半分の方が5点中5をつけられています。1点2点のものもありますが、全体的には良好と言えます。

 

次に、随分前から運営している、別のネットショッピングのレビュー欄です。こちら

こちらは古くから飼育されている方が多いためか、平均で4.7点と非常に高い評価になっています。もちろん、同じ製品ですが、ヤフーショッピングに比べると飼育歴が長い人が多いのが特徴です。ヤフーショッピングは本格的な開始から2年ですが、こちらはもう8年ほどになります。

こちらも、レビュー機能をつけたのは昨年からです。

中には、面白いように捕獲できる人もいます

まず、ちょっと過大に評価していただいている例です。ちょっと心配なのが、100%に近い確率で捕獲できると書かれていることです。実際にこういうことはあるのですが、待ち箱以外の条件もすごく良い場所と思います。正直なところ、待ち箱ルアーがなくてもある程度捕獲できそうです。なお、リピート注文していただいていますが、この方のように毎年リピート購入していただく方が多くおられます

毎年数千人以上の方に使っていただいておりますが、待ち箱ルアー以上の数の群れを捕獲できる方は”まれ”と言えます。そんな状態は広く起こっているなら、日本各地で群れが増えすぎて巣箱を設置する場所がなくなってしまいます。

 

今は順調でも、急速な環境の悪化で捕獲群れ数が激減する場合も

ちょっと話がそれますが、先ほどのレビューのように、今たくさん取れる場所でも、突然捕獲が難しくなり、あまり入らなくなることも考えられます

実際に、私たちが出版した書籍「これならできる!ニホンミツバチの週末養蜂」でも、よく取れる場所と紹介した場所が、今では全く取れなくなっています。しかし、車で3分くらい走った場所では今も捕獲できるので、とても不思議です。アカリンダニや農薬の影響で局所的にいなくなったと推測していますが、あくまで推測の域を超えません。また、他の地域でも、以前は良好だったのに、今では全く取れない場所があります。

今はたくさん取れていたのに、急に取れなくなった場合、致命的な被害となる前に早めにニホンミツバチのQ&Aなどに相談をお寄せください。アカリンダニやサックブルード、農薬などの被害で、飼育数が激減したり捕獲しにくい地域も実際にあります。

 

では、どれくらい期待できるのか?

それでは本題に戻りましょう。私たちは待ち箱は100個くらい、京都府の北部から福井県若狭地方、京都市内まで非常に広い範囲に巣箱を設置しています。車で端から端まで行ったら3時間くらいかかります。面白いように捕獲できるような場所、あまり入らない場所など様々です。

平均すると、だいたい3割くらいだと思います。10個の巣箱をキンリョウヘンまたは待ち箱ルアーと一緒に設置して、3群れ捕獲できるというものです。ただし、すでに飼育群れがいる場合で、週末養蜂家のニホンミツバチのおいしいはちみつの捕獲の10のコツで紹介しているようなものを忠実に実行した場合です。これから始める場合で周りにニホンミツバチがいるかもわからない状態ではそれより低くなるでしょう。この捕獲の割合については一度全国的にアンケートをとって調査したいと思っています。

3割というと少し低いと感じる方もひょっとしたらおられるかもしれません。さらに飼育群れがいない場合は低くなります。ただ、野生のニホンミツバチが、数多くの選択肢がありながら、数割もの可能性で人間の巣箱に入るというのは、とても神秘的ですごいことだと思います。

初心者の方は、飼育者が言う「効果ある」という言葉の基準に注意しよう

ありがたいことに、多くの飼育者の方から「効果がある」という声をいただいております。レビュー欄や、分蜂マップでもそのような書き込みを良くみます。

ただ、「効果がある」と言うことの、温度感は重要です。飼育している人なら、5個の巣箱で2群れも捕獲できれば上々で効果があると感じていただけるのですが、ニホンミツバチの捕獲をまだ体験していない人なら、効果があるというのはまず間違いなく来るという意味だと、期待値が上がってしまうかもしれません。

 

具体的に捕獲数を書いてくださっているレビューがありました。まず1つ目は、5個使用して3群れ、60%の確率です。これでも十分すごいですが、もし20個使用して12群れみたいにこの確率が維持できればかなりすごいですね。

次の方は、初心者でいきなり2群れです。これも確率にすると40%なんですが、初心者ではかなり良好な結果だと思います。初心者だと周りにニホンミツバチがいないこともありますし、方法が悪い場合もあります。何年もなかなか捕獲できないという方も珍しくありません。

おそらく、待ち箱ルアーの他にも捕獲のコツなどを正しく実行された結果だと思いますが、このような報告を見ると大変嬉しく思います。

待ち箱ルアーではなく、あなたがすごい。過剰な口コミは避けてください

ほぼ初心者だけど、5個買ってみたら5群れも捕獲できたというような人も、これだけ購入者が多ければ出てきます。「これはすごい製品だ。これさえあればいくらでも捕獲できる」、「キンリョウヘンより全然すごい」となるかもしれません。でもちょっと落ち着いてください。玄人でもこのように捕獲できることはまずありません。もしこんなに捕獲できたらすぐに置き場所が無くなりますし、今はほとんど存在しない、群れの販売を行う業者も出てくるでしょう。

待ち箱ルアーは口コミで広がってきており、販売数も年々伸びています。口コミ自体は大変ありがたいものですが、もし、たくさん捕獲できたとしても、それを全て待ち箱ルアーのおかげのようには周囲には伝えないようにしてください。捕獲できるかどうかは、周囲の環境や偶然に大きく左右されます。すごいのは待ち箱ルアーではなく、運も含めたあなた自身なのです。他の人も同じようになるとは限りません。

 

少し期待値の高い方で満足度が低い方の口コミの例

少し期待が高まりすぎたのか、他の人が見ればまずまず、むしろ羨ましい成績でも、評価が低い場合があります。このようなレビューも購入者の方には参考になり、ありがたいです。効果がどのくらいあるのか具体的にイメージすることができます。

次のレビューは、評価は5段階中の2ですが、分蜂がまだ終わっていない5月17日で1群れ捕獲されています。もし初心者の方なら、これは結構順調な例です。

この方は5個使われて1群れなので、まずまずと言えます。初心者で飼育群れがいない場合なら、すごいですね。

 

自分が買ったものは不良品かも?

最近では、待ち箱ルアーの効果を口コミで聞いたり、実際に体験される方が増えており、待ち箱ルアーに効果があるということが認知されてきました。その中で、最近に寄せられるようになったのが、待ち箱ルアーの効果は認めるが、自分が買ったものが不良品ではないかというお問い合わせです。と言っても数件程度なので、全体からするとごくわずかです。

待ち箱ルアーは一度に数百個以上作られています。予め数百個分の誘引成分をまとめて調合しておき、それを精密な機器を使って一定量ずつ入れていきます。このため、誘引成分の調合の割合が個々の製品で異なることはまず考えられず、量も均一に含まれています。また、誘引成分自体が目に見えるのですので、人的ミスによる入れ忘れもチェックの段階で防げています。このような理由から、製品によって誘引成分の質と量が異なることはあまり考えられません。もし調合ミスであれば、数百以上の製品に影響があり、多数の問い合わせが寄せられるはずですが、現状ではごくわずかしか問い合わせがきていません。

このような理由から、不良品が出る可能性は大変低いのですが、ご状況を伺った上で、製造元に誘引成分がちゃんと含まれているかを検査をさせていただくこともできます。

 

捕獲できないと思った場合は、分蜂時期の途中でお早めにお問い合わせください

多くの方からご好評いただいてはいるものの、せっかく製品を購入していただいても、が捕獲できるわけではいというのは、待ち箱ルアーを販売する上での避けられないジレンマです。

捕獲率が数割とすると、5個あればどれかで捕獲できる可能性は比較的ありますが、1個や2個では難しい場合があります。

毎年少し残念だと思うのが、分蜂時期がほとんど終わった段階で、捕獲できないという問い合わせをいただくことです。よく事情を聞いてみれば、こちらでアドバイスできることも多いです。初心者の方であれば尚更です。

基本的には、捕獲の10のコツなどで書いているような内容ですが、なかなか全て実行するのは難しいというのは理解しています。例えば、用意した巣箱が2つだけとか、複数の巣箱が狭い範囲に置いてある、飼育群れがせっかくいるのに分蜂集合板を使っていないので分蜂捕獲のチャンスを逃している、蜜蝋を塗っていない、捕獲用の巣箱が大きい(重箱なら分割して複数箇所に置いた方が良い)などです。

分蜂時期がほとんど終わった段階だと、もう手遅れになっています。お伝えしても来年からしか改善できません。もしちょっと早めに、相談いただければと残念に思います。

もしインターネットでの投稿が可能な方は、ニホンミツバチのQ&Aの方が、質問も気軽に行いやすいですし、より多くの方の意見を聞けるのでよいかもしれません。とても詳しく、親切な方が回答していただいています。地域によっても事情が違うでしょうから、全国の方からアドバイスをもらえるのはおおきなメリットです。

 

今(5月10日)から、待ち箱ルアーの購入を検討されている方へ

地域にもよりますが、少し時期が遅いので分蜂の開始時期から購入するよりも確率は低くなります。

分蜂マップを見るとよくわかりますが、今年は分蜂が昨年よりも1,2週間遅いようです。岩手や秋田、青森などの東北ではまだわずかに始まったばかりでギリギリ間に合いそうです。北信越なら4/25日前後から報告が見られたので、まだ可能性は十分あると思います。

5月10日現在の分蜂マップ

ただ、関東、関西、中国四国、東海地方などは、ピークを過ぎています。さらに九州では3月から分蜂が始まっていますので、もう終盤と言えます。標高の高い地域を中心にまだ報告自体は続いていますが、数は減っているでしょう。

春の分蜂の2ヶ月ほど後に起こる孫分蜂(夏分蜂)があり、6月から8月でも捕獲できることがあります※。昨年も、分蜂マップに、6月に57件、7月1日以降に46件も分蜂の報告がありました。なお、1年では750件ですので、全体の15%程度は6月以降だったことになります。このような群れが捕獲できる可能性はあります。

※ニホンミツバチは逃去することがありますが、そういった逃去群れと、孫分蜂は、捕獲する時には区別が付きません。ただ、捕獲できることがあるのは事実です。

一例を紹介すると、以下のような投稿です。

夏分蜂は元の巣が大きくないとあまり起きないと推測されます。もし強群れがありそこから出て来る孫分蜂を捕獲したい場合、また可能性は低いがどうしても諦めきれない方は、待ち箱ルアーが力になるかもしれません。

最後に

キンリョウヘンを栽培する苦労、開花時期を分蜂に合わせる難しさを考えると、待ち箱ルアーは大変便利なものです。簡単に開花時期を分蜂に合わせるといっても、植物はただ温度が高ければすぐ花が咲くというようなものではありません。例えば、2017年の桜は、東京でもっとも開花が早く、九州では遅れました。分蜂の時期も毎年一定ではありません。さらには、これから始める人には、そもそも分蜂の時期を知ることが困難でした。そこで生まれたのが分蜂マップです。

待ち箱ルアーが登場する前は、キンリョウヘンも準備できていないし、自分の地域の分蜂時期もよくわからないまま、いわばスタートラインに満足に立てていない失敗が多かったと思います。分蜂マップで自分の分蜂開始時期を見極めながら、待ち箱ルアーを使えば、捕獲できなかったとしても、少なくともベストは尽くしたと言えます。

待ち箱ルアーが便利だといっても、ニホンミツバチの捕獲は自然が相手。なかなか人間の思うようにはなりません。釣りと同じようなものです。簡単ではないからこそ、これだけハマる人がいるのも一理あると思います。簡単に釣れる、釣り堀はすぐに飽きてしまうように。

2000年代後半から、ネオニコチノイド系の農薬、アカリンダニの被害の拡大、サックブルードウイルスなどの影響が増えており、ダニや病気も気にせず、何も世話をしなくてもある程度飼育できる状態とは言えなくなってきていますし、地域によっては分蜂捕獲が難しくなっているところもあります。こうした中で、全国各地の養蜂家が連携を取りながら、病害虫等の情報を共有し、ニホンミツバチを保護していくことは大変重要になってきています。

業としての飼育が行われていないニホンミツバチでは、ニホンミツバチの飼育を楽しみつつ、保護していくことが重要になっており、ニホンミツバチ愛好家、つまり週末養蜂家の役割が非常に重要になっております。京都の片田舎からですが、インターネット上の、ニホンミツバチのQ&Aや分蜂マップなどのサービス提供を通して、全国の方のお役に少しでも立てればと考えております。

 

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捕獲の10のコツ